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この言葉は以前ご紹介したと思いますが、

    「笑望青山山亦笑(笑って 青山を望めば 山また笑う)」

 どのような意味かと申せば、

 青い眼鏡をかければ世の中すべて青く見え、赤い眼鏡をかければすべてが赤く見える。世の中は自分の心の反映であります。人を憎めば相手も自分に不快な態度や言葉を投げつける。人を愛すれば、相手もまた自分に心優しく接してくれるものである、と解釈できます。


 昭和初期、神経症で森田病院に入院中のある青年がいました。当時、森田先生から一言も誉められたことがなかった、一言くらい何か参考になるような言葉を言ってくれてもよかったではないかと不平不満を申しておりました。
 その後、この青年は退院し一週間くらいしてから、先生のお部屋に御挨拶に上がった。その時、森田先生はご病気であちら向きに寝ておられて、何か本をお読みになっておられたが、青年が

   『おかげさまで良くなりました』

 と申し上げると、先生は突然むくっと床の上に起き直されて、

    『それはよかった』

 と言って嬉しそうに顔をしわにされました。男性はこの時、初めて先生の本当のお姿を見たような感じがしたと、当時の記録に残されています。ここで森田先生と一緒に治療にあたっていた医師が話します。


 
   『笑望青山山亦笑、泣臨碧水水亦泣(わらって せいざんを のぞめば やままたわらう、ないてへきすいにのぞめば
みずまたなく)、という詩があります。無心の山や水でさえも、これに対する自分の心持ちひとつで、或は自分を歓迎してくれ、楽しませてくれるように見え、
或は寂しくせつなく、死の影をともなっているように感じる。

 ましてや、相手は人間である。他人の心を見透かし、推察することが専門の先生であります。
 〇〇君が入院中に不平不満を持っている。しかも生半可の理解で先生の訓(おし)えや治療を批判しているとすれば、その心が大先生の心に通じぬはずはありません。

 これが
世間一般の売り手と買い手の客商売であれば、相手の心の中の不満、不平を知っては、これを和らげご機嫌をとると云うこともありえましょうが、先生は訓えを乞う人々に世の中の事実を如実に知らせ、その事実の前に素直に率直に降参して、そこから新たに出発していくことを訓えられる。
 
 しかも常に机上論ではない。
実生活の上に直接訓練されるのであります。常に真剣勝負である。模型ではない。即ち、以前の感謝の心のない〇〇君に対しては、それだけの価値ある療法、自分の努力を相当に評価せぬ男として取り扱いをされたわけであり、次に〇〇君がここを出られて実生活に還ってから、ボツボツとここの訓えの真価を味わってき
た。即ち、素直になられた〇〇君には、先生も嬉しくなられて、思わず起き上がられたのでありましょう。』( 古閑義之著 性格訓練 より)

 
 大河を素足で渡って来たからこそ語れるものがあります。

 又、黙って不問に徹したほうが伝わるもの、

 むしろ、黙らなければ伝えらないこともあります。

 一見これらは不親切に聞こえるかもしれない。上述の体験談のように誤解も招くことも多い。

 筆者の経験則では、神経症の人たちは囚われた状態から、不安になってすぐに回答を求めてくる。このような場合、我々がいろんな言葉を用いて丁寧に説明しても伝わらない。誤解を恐れず申せば、好意をもって応えることが「小善は大悪に似たり」にもなる。

 笑望青山山亦笑、泣臨碧水水亦泣。

 この心を伝えきれるのも意外と、「不問」、「黙」なのかもしれません。

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by mental-online99 | 2016-02-23 18:36 | 不安障害・パニック障害 | Comments(0)
以前、30代の青年が不安と鬱に悩み話されました。

   「私は管理職の責任者で、心身ともにリスクを伴う仕事をしています。正直、仕事に嫌気をさしこの先、仕事を辞めた方がいいのかを考え不安です。しかし辞めれば生活が成り立たないのです。妻にも言えず、不眠も続き、いろんな体の症状がでてきて困っています。」

 筆者である私も精神科救急搬送に携わる身であり、筆舌では云いがたい現場も多い。一般精神からアルコール依存症や薬物依存症など、それは恐ろしい事案もあります。でも怖いな...と感じながらも前に進むほかない。これは医療に携わる全国の先生方や救急隊とて同じことです。もっとも、それを嫌だと逃げていては、どの仕事も続きませんし食べてもいけません。

 この青年の場合、仕事は嫌だし怖い。しかし、仕事を辞めたら生活も出来ない。だから仕事を辞めないで、辛い思いをしない良い方法はなかろうか、、と考えるところから精神葛藤を起こし不安症状に陥る。つまり、ごく人間らしい心の反応に抗い、自分に都合の良い精神状態にしようと操作した結果、こんがらがって不安症状が生じた。

 又、青年は仕事が辛い、リスクがあって怖いと言う。しかし仕事と云うのはどのような職種であれ不安や不快、恐怖も付いてくる。辞めればこれまでの給与も下がり、少々生活が苦しくなること、これらが覚悟の上であれば進路を変えるのも一つの方法であろう。
 このような時、誰もが不安は生じる。しかし不安が生じないように何か良い方法はなかろうか、、と悪智をもって心を操作すれば不安症状も生じてしまう。人情として当然の帰結でありましょう。ここが今日申し上げたい不安症状の要諦であります。

 あちらこちらに転がっていく石には苔(コケ)も生えない。職場を何度も変えていては、技術も役職も給与も増えないかもしれない。覚悟の上で進む道を変えるのと、何か良い方法はなかろうか、と進む道とではまるで景色も異なります。

 今、目の前で起こっている事実を認め、境遇に柔順なっていくほかに、その苦しみ、逆境を切り抜けていく方法はありません。このとき、ありのまま、あるがまま。人情を無視しない心根が芽生えてくると思います。


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 ↑ オシドリ夫婦でしょうか。


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by mental-online99 | 2016-02-21 18:03 | 不安障害・パニック障害 | Comments(0)
神経症の人たちは、何か行動するときに、

 「ここでやる気が出ないとならない、興味が湧かなくてはならない」、と今の心の状態を測量しては鼓舞する。

 心の状態が、やる気になっているか、面白いと感じているかと、自分の心の動きばかりを観察していてはいつまでたっても前には進めません。むしろ、このように自分の心がどうなっているかと観察している状態では、興味も湧かなくて当然です。

 心を先に整えてから行動に移そうではなく、行動が心を整えてくれる。

 また、この行動をすることで症状が回復するのではないか、良くなるのではないか、と云った「行動」ではいけません。これでは症状が顔を出すとたちまち凹んでしまう。
 行動とは、怖いながらビクビクはらはらなままに、その必要があってする時が本当の行動であり、現在に成り切れるものであります。症状があっても出来た、思ったほど苦しくはなかった、と、ここを通って症状の大小が問題とならない心の態度が形成されていくのです。

 

 
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 ↑ 紅梅も見頃です

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 ↑ 少し色が淡いかな..

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↑ 福寿草です。しっかり根を張っています。私の心根もかくありたい。

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 ↑ 先日の雨風、大雪を耐え抜いた花々たち。

 



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by mental-online99 | 2016-02-19 18:22 | 不安障害・パニック障害 | Comments(0)

メンタルヘルスONLINE スタッフの徒然日記。神経症 不安障害・鬱(抑うつ)などを語ります。


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