病気をしている暇もない − 不安障害(神経症)

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 ↑ 訪問先にて、秋の茶花、コスモス。

  この季節になると、北海道から初雪の便りがくる。その昔、雪の大地を走り回っていた自分と、不安症状で悪戦苦闘していた人たちを思い出す。

  丁度季節は今頃。
  当時、網走で仕事を終えて旭川へ向かう道中、地元の人たちから、「石北(せきほく)峠は15時までには越えろよ!」とよく言われたものだった。雪と凍結がひどくなるからです。

  今日は、その当時の不安障害(不安神経症)症例を紹介し、解説をしたいと思います。

  Aさん当時学生(女性)は、CA(キャビンアテンダント)を夢見て頑張っておられた。ある日、彼女は全身倦怠感を感じ、横になって立ち上がると動悸と立ちくらみ、めまいを感じた。これをきっかけに、歩けば浮遊感と動悸、強い不安感、不安発作が連日現れるようになった。
  すでに精神科・心療内科を受診しており、お薬を飲んでも不安発作時にはその効果も限定的であったこと、受診時に測った血圧が160/100mmHg程度が彼女の不安をジャッキする要因となり、医師やその関係者への依存度も強度になった。CAになるためには、健康管理がいっそう厳しくなるため、血圧測定を暇さえあればするようになった。しかし、血圧にとらわれた状態では毎回数値が高くでてしまい、「こんな数値では駄目だ.」、とますます悪循環に陥っていった。


  症例解説としては、

  不安障害(不安神経症)の特徴として、自宅や外出先ではその症状は活発になるケースが多い。しかし、自分が信頼をして求めた医師や関係者の前では激しい症状はでない。まれに起こったとしても大きく症状が発展することは少ない。
  当時、「不安が強くて困っています。」という家族からの電話を何本もとり、実際にその本人と会うとまったく症状もないばかりか、すっかり安心されており笑い話も交えた事例も数多く経験してきた。これは不思議でもなんでもなく、これが不安障害(不安神経症)なのである。

  古閑先生の言葉を借りれば、

   「不安、またあの発作が起こったらどうしようという自分の生命に対する不安があの発作を招来するのである。その発作が悪循環をつくって雪だるま式に大発作にまで発展してゆく、悪循環を形成していくのが、この不安神経症の真の姿である。このことを認識すれば、すくなくとも自分が治してもらおうと頼ってきている医師のもとで、治療を受けているという環境は、不安神経症(心臓神経症)の発作を発展させてゆくには不適当なものであることが判る。悪循環がはじまってこない。循環が断たれているのである。

   神経症の本態とは何か。この場合、心臓の動悸に気づいて、これを生命の危機の兆候として独断してあわてて、この変調そのものを恐れ、不安しているための取り乱した状態である。この事実を自分で、医師の保護・監督の下という、めぐまれた環境において、体験により理解納得することが全治への途であり再発を防ぐ唯一の途なのである。

   神経症の人は恥ずかしい、人から笑われては困ると、精神も内向性に急に傾いてここに心悸亢進(ドキドキ感)を気付く。他人はどうしているか、という外の方に心が向かないのである。このようにして、この心悸亢進の発作に驚き、恐怖してしまえば、この死の恐怖は常にいつも強く記憶されているので、なにか弟1回の発作(違和感)と同様な、或は、似たような環境に立てば、あのような発作が来ないかと不安し、恐怖する。

   この予期恐怖はいよいよ注意を心臓や動悸の方に向けるようになるので、今度は、容易に小さな心悸亢進も発見するようになる。ほとんど動悸といえない位の心悸亢進や不安感でも、この予期恐怖があれば、すぐに感じ取ることができる。性能の非常に優秀なレーダーを持ったと同じ理である。いつ、自分の心悸亢進が来るか...と予期恐怖を持つ人なら、容易にこれを探しだし、これに執着し、発作をだんだん大きく育て上げてゆくことができるのである。」(古閑義之著・心臓神経症より)

 
  例えば耳鳴り。われわれも静かに注意して観察してみれば、聞こえなくはない。どこか背中にかゆみはないか、と探せば、なんだかかゆくなってくるようである。このように、心身の違和感を注意深くレーダーとしてとらえ、恐怖したために違和感がジャッキされて「症状」へと変わる。この状態が継続していくと、完成された「とらわれ」に姿を変え、不安が常住するようになる。昔、幼少のころ、夏の夜に、数人でホタルを見たことがある。そこでホタルを見たひとりが「火の玉だ」といって騒ぎだしたのを覚えている。不安恐怖する心理状態ではこのように、誤って取り乱した状態になる。

  上述の彼女には、このような心のからくりを説明するところから始まったように記憶している。その後、解決してCAとなり活躍されていった。当時、彼女が他愛もない雑談の中で、

   「神経質な自分だからこそ向いている仕事と感じます。取越し苦労はありますが、空気を読む神経質は役立っています。」


  この症例である彼女は、いつからか、不安を追い出そうとする心が無くなっていたように記憶している。症状がこうだとか、治ったとか治らないとか、話題さえでなくなった。これは決して諦めや自暴自棄ではなく、良い意味として「とらわれ」から脱した姿であります。

  上空ではまさに、一瞬一瞬、今が問われる業務。だからなお再発予防にもなっている。一瞬一瞬の上空では、症状を探すとか持ちこたえるとか、病気をしている暇もないといった状態がいっそう心を強化していると感じます。

  とらわれが、どさッと剥がれた症例です。



不安障害(不安神経症), パニック障害・各種神経症の症状と心構え, メンタルヘルスONLINE



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by mental-online99 | 2016-10-16 09:37 | 不安障害・パニック障害 | Comments(0)

メンタルヘルスONLINE スタッフの徒然日記。不安障害・鬱、アルコール依存症などを語ります。


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