不安の正体

e0367279_19151934.jpg


 神経症の不安は役立っている。
といっても、急性期の人たちはピンとこないであろう。症状を持ち合わせて日が浅い人達からはむしろ、その温度差からお叱りを受けることもある。これは致し方のないことです。だけども、いずれ神経症やパニック苦悩を超えた体験者たちの言葉がぴたりと分かる時期が来るものと考えます。

 さて、希望や願望が多ければ多いほど不安に陥りやすくなる。高い山に登れば不安が増すのと同じで、願望が強ければ強いほど、不安も強くなってくる。まさに、欲望と不安の法則ともいえるようです。欲望(願望)と不安の相関関係は、裏表、光と影のように両面を冷静に見つめてみると理解できます。

 冒頭でも述べた、「不安は役立っている」。これは、神経質があるからこそ、仕事にも家庭でも、その几帳面さが裏方として発揮されている。表では不安がなにやら賑やかでありますが、目立つことのない裏方では黒子のように神経質の不安も役立っているのです。

 神経症の解決はくどいほど申し上げている、実体験を通じて心身で覚えることが重要。神経症やパニックなど、書店へ行けばあらゆる本が並んでいる。しかし、いくら読んで知的に理解したところで、所詮は情報に過ぎない。旅行ガイドブックを読んで現地を知っていると言うのと同じ。もちろん、このBlogも同じ。情報を体験をもって、自分の技に変えていくことこそ大切なのです。

 料理に例え申せば、数分で出来るTV料理番組や本も多数あります。しかし実際に自分で料理をやってみると、どうもうまくいかない。味付けひとつにしても、書いてある通りにやっても自分の好みの味ではない。味付けの好みも人様々です。まさに実体験を通して、そこに工夫と修正が必要となってくる。ここを通って、自分の味、スタイルになり深みも増してくるものです。

 神経症やパニックも同様で、その不安症状の感じ方も人それぞれで異なる。その解決へ向けた手法なりスタイルというのも、不安症状の真っ只中で必要事に成り切り、不安と一体化し、試行錯誤してこそ血肉になっていく。私どもは、不安が起こった場合、その不安を紛らわすような行動をしないように、と説く。紛らわす行動をとっていると、どうも不安を回避する行動、不安がどれほど良くなっているか、悪くなっているか、といった不安を四六時中観察する行動がいっそう堅固になりがちである。

 この不安症状を我々風に述べれば、誰にもある小さな違和感に注意を向け、そのことを大変な病気になったと意識し、それを取り払おうと「はからい」をした為に、不安が雪だるま式に大きくなったものである。不安を取り払おうとはからった事が、心に停滞を起こし、身動きができなくなったのである。
 つまり、不安を追い払おうとしたり、逃れようとしたり、忘れようと、克服しようとする、一切のはからいを断たなくてはならない。はからいを断つとは、これらを辞めようとするのではなく、不安症状をそのままに、あるがままに受容していく事である。

 不安を取り払おうとした行動そのものが、「不安」の正体であったわけである。

 
 さて、これも昭和初期、森田博士に診察を受けた人が書き綴っています。
「私の訴えを一通り聞き終えると博士は深い同情のこもった声で『この世の地獄ですね』と言われました。その言葉がじいんと私の胸に響きました。ここに私の苦しみを分かってくれる人があった。それは自分の力で苦しみから抜け出そうとこれまでいろいろやってみましたが、みんな失敗に終わり、万策尽きたあげくにたどり着いた他力本願の境地でありました。(省略)」

 確かに不安症状を自己流で解決するのはなかなか難しい。誤解を恐れず申せば、これは師と弟子のようなもので、実際、恩師鈴木博士も精神科医師でありながら白衣を生涯着ることはなかった。これは鈴木博士自身以下のように述べておられる。
 「ここでは(当院)、神経質の患者と治療者である私との関係は、人生知の先輩と後輩との関係であり、普通の医師と患者との人間関係とは少し趣を異にしたものである。森田博士の時代には、人生知の師匠と弟子の関係に重点があったが、今の治療者である我々もまた、森田博士の弟子であり、やはり一番ぴったりするのは人生知の先輩後輩の人間関係であると思われる。ここの診療所の他の医師や看護師、同期の神経質人はともに、補助関係であり、やはり治療者と神経質人との一対一の人間関係が治療の主役であると思われる。」

 不安は浮かべておけば良い。
 頭に浮かべていれば、いつしかそれが消滅していた事を体験する。
 それは、消滅=神経症であったことを忘れている、という境地かもしれない。
 不安を相手にすることが面倒になり、ばかばかしくなり
 不安を測定しなくなってくれば、
 不安を頭に浮かべていても、なんら不安でないということがわかってくる。
 体験的にひとつ分かれば、つぎつぎに分かってくるものです。


 
 明日も皆さんにとって良い日でありますように。



不安障害(不安神経症), パニック障害・各種神経症の症状と心構え, メンタルヘルスONLINE


◆以下URLにて、皆さまのご感想・ご意見・ご要望などをお待ちしております。

http://ws.formzu.net/fgen/S84758081/

by mental-online99 | 2015-08-23 20:38 | 不安障害・パニック障害 | Comments(0)

メンタルヘルスONLINE スタッフの徒然日記。不安障害・鬱、アルコール依存症などを語ります。


by Mental Health Online
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30