平常心是道 - はからいのない心

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 ↑ 葉桜と思いきや、はなもも。

 花粉と黄砂が吹き荒れ、車をなんど洗ってもガラスが黄色い。
知人の耳鼻科医師もインフルが終わっと思えば、今度は花粉で混み合う待合室。髪の毛を振り乱して働く彼の姿もすっかりベテラン、春の風物詩であります。

 さて、今日も不安神経症、パニックの不安症状について。
恐れるな、と云ってもこれは無理からぬことです。平常心には戻れぬのではないか、と考え恐れる。しかしこの心理状態はとても人間らしい反応と思います。ですから、恐れるときは、恐れるままに。むしろ、そこで恐れてはいけない、と心をいじくらないことが肝要です。ただ、いくら不安に陥っても、悲観のあまり憂うつになっても、身体症状が現れても、決して想像したような結果にはならないのが神経症。

 慈恵医大初代精神科名誉教授、森田正馬先生(明治7年~昭和13年)の講和内容を参考までに記述しておきます。昭和初期の講和ですから昔の表現はご容赦ください。

(当事者A): 私は卒倒恐怖に悩んでいる者であります。じつは私は十数年来禅をやっておりまして、100ほどの公案を通過いたしております。禅では、「平常心是道」ということを申しますが、私も座禅するときには平常心となることができます。しかし電車の中で卒倒しそうになるときには、どうしても平常心になることができないのです。どうしたらよろしいでしょうか。

(森田先生):私は禅のことはよく知りませんが、あなたのいわれることは、少しまちがっているように思われます。死はおそろしいし、腹が減ればひもじいにきまっています。あなたの場合ならば、電車にのれば卒倒するのではないかとおそろしい。それが平常心ではありませんか。そもそも、平常心というものは、つくるものではなくて、あるものであります。おそろしいならばおそろしいままの心、それがすなわち平常心であります。
 
 なお、苦痛や恐怖になりきるということは、苦痛をそのまま忍受し、苦痛をのがれるための小細工をやらないことであります。たとえば、ある不眠の患者は、先日の診察で私がいった「いくら不眠でもかまわない、薬をのんだり、眠る工夫をしたりしてはいけない」ということを実行したために、きっそくその晩から安眠ができるようになった、ということであります。

(当事者B): 私は心臓神経症でございますが、やはり同じような考え方でよろしいのでしょうか。

(森田先生) まったく同じことです。私どものもっとも根本的な恐怖は〝死の恐怖〟でありまして、それを表から見れば〝生きたい〟という欲望であります。死にたくない、生きたいというのは誰にも共通する本能的な欲望であります。さらにその上に私どもは、よりよく生きたい、人に軽蔑されたくない、えらい人になりたいというような向上欲に発展し、複雑きわまりないさまざまの欲望となるのであります。それで、神経質の症状に苦しんでいる人は、なぜ病気がおそろしいのか、なぜ不眠が苦しいのかと、自己反省によって追究してゆけば、けっきょく生きたい、発展したいという欲望がつよいからだ、ということがわかってくるのであります。このように、自分の心の奥底までわかるようになるのを自覚といって、人間として修養が積むほどその自覚が深く正しくなってくるのであります。
 私自身の自覚について一例を上げてみますと、私にとっては〝死〟はいかなる場合、いかなる条件の下でも、つねに絶対的に恐ろしいものである、ということをハッキリ自覚しています。たとえ私が125歳まで生きたとしても、〝死〟がおそろしくなくなることはけっしてない、ということを予言することができます。私も少年時代から40歳ごろまでは、何とかして「死」をおそれないようにと、いろいろ工夫もやってきましたけれども、〝死はおそれざるを得ない″ということをハッキリ知ってからのちは、そのようなムダな骨折はやめてしまったのであります。
(以上、刑外会より抜粋)

 神経症の皆さんはやがて、不安があっても問題とならない心の態度へ行き着く。
不安があっても、パニックが顔をだしても、相手にしないところに心が抜けていく。森田先生は昔の言葉で更に云っている。

 (森田先生):「神経質(神経症)の症状は注意がその方のみ執着して起こるものであるから、患者の精神の自発活動をうながし、その活動を広く外界に向かわしめ、限局性の注意失調を去って、無所住心の境涯にみちびくことにある。」(以上、森田先生)
 森田先生の云う無所住心とは、どこにもおかない心、流動の態度と解釈できます。

 つまり、ここで大切なことは、自分の意志の力で、自分の意識(心の持ちよう)を自由にすることは不可能であると云うこと。こころを操作し、不安や観念を超えようとすることは悪循環である、と云った自覚を通って、不安があってもかまわない、不安と戦わない心が自然と芽生えてくると思います。これこそ、平常心是道(へいじょうしんこれみち) - はからいのない心、あるがままと云うことですね。
 

不安障害(不安神経症), パニック障害・各種神経症の症状と心構え, メンタルヘルスONLINE
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by mental-online99 | 2015-03-25 19:43 | 不安障害・パニック障害 | Comments(0)

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