心に伝え眼に伝え 耳に伝えて 一筆もなし


 このような歌があります。

 「心に伝え眼に伝え 耳に伝えて 一筆もなし」

 この歌は、利休の孫の宗旦が残した歌であります。どういう意味かと云うと、「茶の湯は、心や目や耳で覚えるもので、書いて覚えるものではない」と云うことです。

 この平成の世の中、なんでも手に入る豊かな世ではあるのですが、なんとも閉塞感のあるせわしなく不安な日常であります。この言葉をこの世の中に置き換えてみると、次ように読み取れます。

 様々な情報や知識、あらゆるものがインターネット等を通じて手に入ります。しかしそれは裏を返せば、情報や知識などはいくらでも入ってはくるけれども、自らの目で見たこともなければ耳で聞いたものではない、心で感じたものでもない。
 だから戸惑いや不安や自信喪失につながりやすい。

 仕事も同様で、本当に自分の経験として知識や技術を得たいのであれば、それに向かって自分の目で見て、自らの耳で聞き、自分の心で直接感じなければなりません。

 そこを通って初めて、生きた知識や情報が身に付き、経験、実績、ゆるぎない精神、根の深い生命へと変わっていくのです。

 その昔、不安神経症から回復した30代男性から、次のような相談がありました。
「親から進められて雑貨店を開業したが、全然お客がこないから店を辞めようと思う」、と。聞いてみれば、彼は事前に一応開業に関わる書籍を読んだようですが、開店にかかわる費用(テナント契約・店内改装・仕入先の確保)などはすべて親御様がなさったようです。どうやら彼は病み上がりを理由に、親御様から息子が後々困らないようにと出店を勧められたようなのです。

 このように、実体験としての知識経験(行入)と、仮想での知識経験(理入)では見える景色や心持は全く異なります。誤解を恐れず申せば、私の云う、道を知っている者と、歩いてきた者では全く異なると云うことです。これはどこの世界、分野でも云えることですね。

 これら自らの眼で見て、聞いて、歩いてきたものは、たとえ大海原で嵐にあったとしても、次に来る風がプラスなのかマイナスの方向か、それがなんとなくではあるが見えてくるものです。迷うことはあったとしても、不安で絶望することはないのです。

 失敗するかどうかはやってみないと分からない。しかし行動しないことが最大のリスクであり失敗でもあるのかもしれません。
 



不安障害(不安神経症), パニック障害・各種神経症の症状と心構え, メンタルヘルスONLINE
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by mental-online99 | 2014-02-10 18:56 | 不安障害・パニック障害 | Comments(0)

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